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【専門家による警鐘】屋根・外壁の“訪問販売リフォーム”にはご注意を 2025.05.28

【専門家による警鐘】屋根・外壁の“訪問販売リフォーム”にはご注意を

~全国外壁屋根調査協会が行政と連携して確認している実例と、契約前に知るべき法的知識~

近年、住宅の屋根・外壁に関する訪問販売業者による勧誘行為が都市部・郊外を問わず急増しています。
「近くで工事中のため、点検だけ無料でどうか」
「屋根の板金の釘が浮いているのが見えた」
「瓦が割れていて、雨漏りの危険がある」
このような“声かけ”を受けて、つい自宅の屋根の状態が気になり、無料点検を受けた結果、必要性の薄い工事や高額契約を結ばされたという相談が当協会にも多く寄せられています。

本記事では、実際に報告された事例を交えながら、訪問販売特有の手法や、消費者が持つ法的権利、そして信頼できる調査・業者の選定基準について、専門的な立場から解説いたします。

1.訪問販売による代表的な手口と勧誘パターン
①「屋根の板金の釘が浮いている」と突然の指摘
ある日突然訪れた業者が、「お宅の屋根の板金の釘が浮いていて、台風のときに飛ぶ危険があります」と写真を見せてくる。
実際に板金部の釘が数ミリ浮いていたことは事実だったものの、建物全体から見れば軽微な経年変化であり、即日工事が必要な状態ではありませんでした。
それにもかかわらず、「今すぐ補修すれば100万円で済むが、放置すれば全面補修で300万円以上かかる」と不安を煽られ、即決を迫られたケースです。

②「瓦が割れている。雨漏りする」と不安を強調
「瓦が1枚割れていて、次の雨で確実に雨漏りします」と言われた60代のご夫婦が即契約。
実際に割れは確認されたものの、それは表面だけの浅いひびであり、防水層には全く影響がなかったと、後日、当協会の調査で判明。
しかし契約書には「屋根全体の漆喰補修および防水塗装一式」と記されており、総額は80万円超。

2.なぜ“訪問販売”は危険なのか?
外壁塗装や屋根工事といった分野は、一般消費者にとって専門知識が乏しく、工事の良し悪しを事前に見極めづらいという点にあります。
しかも屋根に関しては、

高所にあるため住人が直接確認しにくい

写真の撮り方次第で状態が悪く見える

「雨漏り」など生活被害への不安が即座に結びつく
といった心理的な構造があるため、不安を煽ることで契約を取りやすい商材となっているのが実情です。

3.【法的視点】特定商取引法による保護制度とは
● クーリング・オフ制度
訪問販売により契約を結んだ場合、契約書面を受領した日を含めて8日以内であれば、書面または電磁的記録での通知により、無条件で契約解除(クーリング・オフ)が可能です。
「工事に着手しているからキャンセルできない」という業者の主張は違法です。

● 不実告知・威迫による困惑の禁止
「このままだと漏水が確実です」「今契約しなければ、あとでは材料費が倍になります」
こういった“根拠のない断定”や“過度な不安の煽り”は、「不実告知」または「威迫による困惑」に該当し、特定商取引法により禁止されています。

4.「近隣で工事中」=信頼できる業者ではない
訪問販売でよくある謳い文句の一つに、「すぐ近所で工事をしていて、足場を共有できるので安くできます」というものがあります。
これは一見合理的なように聞こえますが、実際には:

その業者がどのような施工品質で工事をしているか不明

足場の安全性や保険が共有されていない可能性がある

実際には足場代は請求されている(名目を変えて)
といった問題が潜在しています。

5.信頼できる業者かどうかを見分ける「5つのチェックポイント」

建設業許可番号または塗装工事業の登録があるか

使用材料(塗料・シーリング・板金等)の製品名・メーカー名が記載されているか

診断書や写真付き報告書があるか

工事保証内容(年数・適用範囲)が明記されているか

契約前に詳細な工程説明・乾燥時間管理・下地処理方法の説明があったか

6.「近所で工事中なので安くします」の“からくり”に要注意
「お隣の◯◯様邸で屋根の塗装をしてまして、足場をそのまま使えるので、お宅もやるなら足場代を無料にできますよ」

● 実際の“割引”ではないことも多い
「足場代無料」と言いつつ、別の名目(諸経費・雑費・調整費)で請求されるケースが多発。

● 「近所の現場」そのものが虚偽であることも
実在する工事現場を指しても、他社の施工だったり過去の現場だったりする場合も。

● 仮に本当でも「ついで工事」は品質が下がるリスク

工期が圧縮され乾燥時間や養生処理が不十分

人員が分散し、現場管理が不徹底

急な追加工事に対応できず、工事品質が犠牲になりやすい

● 「他人がやってるから安心」ではない
「お隣が頼んでいたから安心して頼んだが、実際は手抜き工事だった」という苦情も。

● 足場代の正当な相場と比較せよ
戸建て住宅の足場設置費用はおおよそ800円~1,200円/㎡程度が目安。

7.当協会による中立診断の重要性
全国外壁屋根調査協会では、契約を前提としない中立的な劣化診断を実施しています。必要な工事の有無・時期・優先順位をお伝えしています。

8.最後に:契約は「納得してから」で遅くない
屋根や外壁の劣化は、時間をかけて進行するもの。
「今すぐ契約しないと危険」といった言葉に左右されず、まずは正確な情報を得てから判断することが、最も安全で賢明な選択です。

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