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近年の塗装工事中のトラブルとその対策 2024.04.20
近年の塗装工事中のトラブルとその対策
はじめに
近年、外壁や屋根の塗装工事に関するトラブルが増加傾向にあります。国民生活センターには、2022年だけで3,860件の塗装工事に関する相談が寄せられました。これらのトラブルは、契約時の不備や施工中の問題、近隣とのトラブルなど、多岐にわたります。本記事では、よくあるトラブル事例とその予防策について解説いたします。
よくあるトラブル事例
◆訪問販売による強引な契約
「今だけ特別価格」「足場代無料」などのセールストークで契約を急がせる訪問販売業者によるトラブルが報告されています。契約後に高額な請求や不十分な工事が行われるケースもあります。
対策: 契約はその場で決めず、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。また、クーリングオフ制度を活用することも検討してください。
◆契約内容の不明確さ
契約書に塗料の種類や施工範囲が明記されておらず、希望と異なる工事が行われるケースがあります。また、口頭のみで契約が進められ、後から追加料金を請求されることもあります。
対策: 契約前に見積書や契約書の内容を詳細に確認し、不明点は業者に質問して明確にしましょう。書面での契約を徹底し、口頭のみの約束は避けてください。
◆実際にあったトラブル事例
東京都内で、20年耐久のフッ素塗料で契約されたお客様。工事直後は綺麗に仕上がっていたものの、わずか5年で外壁にチョーキング現象(手で触れると粉が付く)が発生。気になって再調査を依頼したところ、実際に使用された塗料缶は、本来必要な数量の半分以下だったことが判明。業者側は「良い塗料だから少なくても大丈夫」と説明していたが、メーカー指定の塗布量を満たしておらず、本来の性能が発揮されていなかったことが分かった。
◆なぜ「使用缶数の明記」が重要なのか?
塗料の性能は、「塗料の種類」×「塗布量」×「塗装方法」の3つが正しく揃って初めて発揮されます。どれかひとつでも欠ければ、期待される耐久年数は大きく下がります。
つまり、「高性能塗料を使えばそれで安心」というわけではなく、適正量をしっかり使ったかが非常に重要なのです。
しかし、見積書や契約書に「缶数の記載」がない業者も多く、どのくらいの量を使う予定なのか、施工後に本当に使われたのかの確認すらできない状態で契約が結ばれているのが現状です。
◆トラブルを防ぐには?
- 見積書には「使用塗料名」だけでなく、「使用缶数」「塗布面積」「塗布量(㎡/缶)」が明記されているかを確認
- 工事前に現場に納品された塗料缶を確認できる体制かどうかチェック
- 工事完了後には空缶の本数と写真付きの報告書の提出を求める
- 「缶数の明記はできません」「工事後の空缶は処分しました」と言う業者には要注意
◆施工中の近隣トラブル
塗料の飛散や高圧洗浄時の水漏れにより、近隣の車や庭木を汚してしまうトラブルが発生しています。これにより、近隣住民との関係が悪化することもあります。
対策: 工事前に近隣への挨拶を行い、工事内容や期間を説明しましょう。また、養生や飛散防止ネットの設置など、周囲への配慮を業者に依頼してください。
◆施工後の不具合
塗装後すぐに塗料が剥がれたり、色ムラが発生したりするケースがあります。これは、下地処理の不備や塗料の選定ミスが原因となることがあります。下塗り材の選定も業者から説明があるとよりいいでしょう。
対策: 施工業者の過去の実績や口コミを確認し、信頼できる業者を選定しましょう。また、保証書の内容を確認し、施工後のアフターサービスが充実しているかを確認してください。
◆トラブルを防ぐためのポイント
- 現地調査でどこまで細かく診断してもらったか。
- 契約書や見積書の内容を詳細に確認し、不明点は業者に質問する。
- 工事前に近隣への挨拶を行い、工事内容や期間を説明する。
- 資料の細かさ。診断書や提案書の充実具合
- 保証書の内容を確認し、施工後のアフターサービスが充実しているかを確認する。
おわりに
外壁や屋根の塗装工事は、建物の美観や耐久性を保つために重要な工事です。しかし、トラブルが発生すると、費用や時間だけでなく、精神的な負担も大きくなります。本記事で紹介したトラブル事例や対策を参考に、安心・安全な塗装工事を実現してください。
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